【閉店】　広島風おこのみやき・花子さん　

　　　　閉店の日


「開店」があれば、もちろん「閉店」もあります。

開店した時から、閉店のことは考えませんが
その閉店の「Xデー」が、ついに来てしまいました。

22年間、思い返すといろいろな出会い、出来事、
事件・・・・　　　本当に一杯でした。


でも、いつも思い出す場面は、サラリーマン生活に、
ピリオドを打って、いよいよ広島へ1人で出発した
朝の事です。


広島へ修行のため出発する日。
朝、3時半。
1人で起きて、車でそっと家を出る予定でした。
私に、最後のあいさつなんか言えません。
たとえ、家族でも。

荷物を積み込んで、エンジンをかけ、いよいよ家を
出る時に、家からパジャマ姿のお袋が出てきました。


私は、お袋に・・・・

「1人前になるまでは、家にはもう戻らない！」
と、言いました。

お袋は、「気をつけて、行きなさいよ」といつものように
小さな声で、一言言いました。

「行ってきま～す」と言って、すぐに車を出しました。
それ以上その場にいると、涙がでそうだったから・・・

バックミラーには、私を見送っているお袋の姿が
見えました。
カーステレオのカセットテープからは、タイミングよく
長淵剛の「さようならの歌」

　　♪　さようなら　また会えるね
　　　　　そんなに悲しい顔するなよ
　　　　　　　僕だって悲しくなるじゃないか　♪

なぜか、涙があふれてきました。
運転しながら、泣きました。



そして、広島へ行ってからは、「自分の店」を持つために、
1人でがんばりました。

電話なんかもちろんありません。

ハンゴウで飯を炊きました。
パンの耳をかじりました。

お店を持つため、節約しました。
それまで、経験した事のない「超！貧乏生活」です。

でも、楽しかったです。
最高でした。

好きだった「ビートたけし」（当時）も、修行先の
お店に食べに来ました。



広島で、がんばって浜松に帰ってきたのは、2年半後でした。

2年半ぶりの浜松、そして自宅。


さらに、浜松に戻って半年後、ここでお店を開きました。

そんな思いが一杯こもった「花子さん」でした。



きょうは私の人生にとって大きな「節目の日」です！

すばらしい日にしたいです！

きっと、すばらしい日になるでしょう！